5人が本棚に入れています
本棚に追加
片臣は、起きている時間が少ない。
毎日15時間以上寝てる。何でだろ…
…まあいっか!
私は片臣に一切目を向けず、ホームルーム中の静かな廊下で落ち込んでいた。
だってさ、新井も原ちゃんも行っちゃったんだよ!?反省文書きに行っちゃったんだよ!?この時間の授業が最後だとわかってたな由美ちゃん!ホームルームの時間も教室から追い出しやがったし…!
私が怒りに塗れながら落ち込んでいると、寝起き状態と思われる片臣が小声で話しかけてきた。
「大丈夫?ぼっちらしいけど」
あ、ごめん、寝起きじゃなかった。さっきのは狸寝入りか?
片臣は、起きていると覚醒する。凄いよねえ、たまにカオスになるけど。
でも、割かし常識人だ。
私は、顔を上げずに、片臣の問いに答えた。
「原ちゃんと新井に置いてかれた…泣きそう」
「全力で泣け。そうすれば…いつか、必ず…!」
ごめん、こいつ異常もだわ。
私は、日に照らされ眩しそうな片臣をガン見した。
うん、今日もキュートボーイだ。顔はな!
しばらくガン見を続けていると、片臣は急に顔を赤くし、俯いてしまった。
何だ、なんなんだ。照れたのか?異常なのに?え?こいつ、照れるの?初耳なんだけど。
「…お前なあ…何で、俺の顔ガン見するんだよ…恥ずかしいし寝にくいからやめてお願い…」
「え、ダメだった?え、ごめん。わざとだけどわざとじゃない」
「どっちだよ」
「多分わざと」
「おい」
私たちは、くだらない会話を数分、小声で行った。ああ、照りつける太陽が眩しい…憎みそう。
会話を続けていると、チャイムが鳴った。どこの学校でもおなじみのチャイムが鳴り、辺りはすぐに騒々しくなる。いや、本当にうるさい。うん。
「またねー!」
「今日、何かあったっけ?」
そんな声が、周りから聞こえてきた。その声は、とても明るく、私も入りたいと思ったほどだ。入らないけど。
しばらく待っていると、ゲンナリした表情の原ちゃんと新井が帰ってきた。
何があったのか…それは、私にはわからない。強いて言うなら、凄く怒られたのは確かだ。ごめん原ちゃん。そして身代わりありがとうございます!
「長いんだよ…反省文書く量が…!」
「何枚書いたの?3枚?3枚だよな?」
「5枚…」
「え、キツくない?」
原ちゃん、本当にごめん。
最初のコメントを投稿しよう!