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帰り道、空がオレンジ色に染められ、皆が一斉に帰りだす頃。私たちは、鬼ごっこを始めた。私と片臣が鬼で、原ちゃんと新井は逃げるらしい。私たちが運動できないってわかってるよね!?何でこのメンバーにしたの原ちゃん!?あ、球技ならドンと来いと言えるほど得意だよ!
「ただでさえ持久走10位なんだろ。運動しろ」
待って、それは違う。私は正常だ。むしろ、30人いる中で10位は誇れる順位だと思う。
「いや持久走毎年1位の原ちゃんがおかしいと思うよ私は」
「俺は嫌だぞ、原田と走るの」
おおっと!空気を読まない新井、早速反論を出してきた!
…まあ、私もおかしいと思うよ?うん。帰り道に鬼ごっことか、普通に考えてもね、常識じゃないよね、うん。
「我慢。俺もお前ら追いかけないといけないし、お相子」
片臣も嫌だったらしく、不機嫌オーラが見えそうなほど嫌そうな顔をした片臣が口を開いた。
仮にも、今日は初中間テスト2週間前の日だ。それなのに、鬼ごっこを始めようとしている高校生なんて、第三者から見たら意味がわからないと思う。…が、これが私たちの普通。
だから、片臣が不機嫌なのは、結構珍しい。
本当、何で不機嫌なんだろう。
「お前、いつから眠気覚めたんだよ…」
「2人が反省文書きに行った頃」
あ、そうか、新井は片臣が目を覚ましたのを知らなかったんだっけ。言うの忘れてたけど、まあ新井だし大丈夫だよね!
…あ、そっか、眠気が覚めたばかりだからか。
さっきまでの疑問が晴れた瞬間だった。
「うおしゃー!頑張って2人共捕まえるぞー!」
私は、原ちゃんに負けないぞという意志を込めながら、宣言した。
原ちゃんに負けるのは、少しも無いはずのプライドが許さない。
「夜明けまでに…捕まえる…あはは…!」
怖い!片臣が本気出すとめちゃくちゃ怖いんだけど!やばい、私も逃げたくなってきた!もういい、テンションで誤魔化してやる!
「頑張って逃げ切るぞ原田!片臣が怖い!」
「わかってるわ新井!逃げないとどうなるかわからないからな!」
2人共、凄く元気に叫んでいるけど、叫んでいる内容と声が合ってない気がするのは気の所為?
そんな2人を見ながら、片臣は落ち込み気味に
「俺の扱いが酷い気がする」
と言った。
…でもなあ…
「片臣、キャラぶれっぶれだもん」
いつものような性格でも、私たちのような性格になる時もあれば、怖い性格になる時もある。
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