1話:説教?いいえ、口論です

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帰り道、空がオレンジ色に染められ、皆が一斉に帰りだす頃。私たちは、鬼ごっこを始めた。私と片臣が鬼で、原ちゃんと新井は逃げるらしい。私たちが運動できないってわかってるよね!?何でこのメンバーにしたの原ちゃん!?あ、球技ならドンと来いと言えるほど得意だよ! 「ただでさえ持久走10位なんだろ。運動しろ」 待って、それは違う。私は正常だ。むしろ、30人いる中で10位は誇れる順位だと思う。 「いや持久走毎年1位の原ちゃんがおかしいと思うよ私は」 「俺は嫌だぞ、原田と走るの」 おおっと!空気を読まない新井、早速反論を出してきた! …まあ、私もおかしいと思うよ?うん。帰り道に鬼ごっことか、普通に考えてもね、常識じゃないよね、うん。 「我慢。俺もお前ら追いかけないといけないし、お相子」 片臣も嫌だったらしく、不機嫌オーラが見えそうなほど嫌そうな顔をした片臣が口を開いた。 仮にも、今日は初中間テスト2週間前の日だ。それなのに、鬼ごっこを始めようとしている高校生なんて、第三者から見たら意味がわからないと思う。…が、これが私たちの普通。 だから、片臣が不機嫌なのは、結構珍しい。 本当、何で不機嫌なんだろう。 「お前、いつから眠気覚めたんだよ…」 「2人が反省文書きに行った頃」 あ、そうか、新井は片臣が目を覚ましたのを知らなかったんだっけ。言うの忘れてたけど、まあ新井だし大丈夫だよね! …あ、そっか、眠気が覚めたばかりだからか。 さっきまでの疑問が晴れた瞬間だった。 「うおしゃー!頑張って2人共捕まえるぞー!」 私は、原ちゃんに負けないぞという意志を込めながら、宣言した。 原ちゃんに負けるのは、少しも無いはずのプライドが許さない。 「夜明けまでに…捕まえる…あはは…!」 怖い!片臣が本気出すとめちゃくちゃ怖いんだけど!やばい、私も逃げたくなってきた!もういい、テンションで誤魔化してやる! 「頑張って逃げ切るぞ原田!片臣が怖い!」 「わかってるわ新井!逃げないとどうなるかわからないからな!」 2人共、凄く元気に叫んでいるけど、叫んでいる内容と声が合ってない気がするのは気の所為? そんな2人を見ながら、片臣は落ち込み気味に 「俺の扱いが酷い気がする」 と言った。 …でもなあ… 「片臣、キャラぶれっぶれだもん」 いつものような性格でも、私たちのような性格になる時もあれば、怖い性格になる時もある。
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