キンモクセイと美少年

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とはいえ、シスターの前では「ごきげんよう」などとすましていても、 思春期の私達にとって「一体、男とはどんな生き物なのか」というのが最大の関心事だったのではないか。 唯一、垣間見えるのは、テレビで歌ったり踊ったりするタレントとか、洋楽雑誌のグラビアで微笑んでいる金髪のギタリストだとか、小説や漫画の登場人物くらいのもの。当時、マッチやとしちゃんが全盛期だったが、私には、アイドルは頭が悪そうに見えたし、金髪のギタリストも汗臭そうでいやだった。結果、今でいう二次元の方に興味がひきつけられていった。とはいっても40年前だからアニメじゃなくて少女漫画。それも「マーガレット」や「フレンド」といった王道の少女漫画雑誌に連載されているような、おっちょこちょいの主人公の女の子が、なぜか、学年一かっこいい男の子と恋愛するお話には全く惹かれなかった。 現在では、女子向け漫画市場を席巻する「男と男」の恋愛のマンガ、に出てくる男の子にばかり惹かれたのだった。「風と木の詩」しかり、「11月のギムナジウム」「日出る処の天子」…今でも名作と言われているのではないか。 まだ「BL」という言葉も「腐女子」という言葉もなかった時代。
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