泉のほとり

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高学年になると、塾に通ったり、学校の外の世界を知る子も出てきます。 成長の早い子は思春期に差し掛かり、変わったコトをやってみる子も出てきます。 6年生に上がってすぐの頃でしょうか、 突然、オガコのすぐ後ろを、マネしてビッコをひきひき、ついて回りだした子が居ました。それが、伝染するように次の日は二人に増え、数日続きました。ほとんどの子は無関心でしたが、次第にそれを見て笑う子も出てきました。今まで、オガコがそんなことをされているのを見たことはありませんでした。 誰も何も言わないので私はとうとう「どうしてそんなことするの?」とマネする子に訊きました。正義感とか、責める気持ちとかでは全然なくて、単に不思議だったから。「だって、面白いじゃない」と、その子は可笑しそうに笑いました。私にはその面白さが、まったく理解できなかった。それで「全然、面白くない。いやな気分。いつも踊ってくれる電線音頭のほうがずっと面白い」と言いました。私はそのテレビは見てなかったけど、その子が踊る「電線マン」が面白くてゲラゲラ笑っていたんです。今考えると私もかなりトンチンカンでした。 さらに私は担任のシスターに、オガコの真似ををやめさせてください、オガコは黙ってるけどイヤだと思います、と伝えた記憶があります。それがオガコにとっていいことだったのか、余計なことだったのか今となってはわかりませんが、単純に私がイヤだったのだと思います。 真面目ぶりっ子、とか、チクリとか、言われたりしなかったのかな、今更、気になりますが、当時はそんなこと思いもよらない。だから、どこかで言われてたとしても気づかなかったんですね。 その後、真似していた二人とも、中学進学の時に他の学校に変わってしまいました。
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