泉のほとり

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実はオガコのマネをやり始めた子は、成績もトップクラスの 頭の回転の速い子でした。 それでも母校では出されてしまった。 ここであえて、頭の回転が速い、と書いたのは、 私は「頭が良い」のと「頭の回転が早い」のは別だと思っているからです。 彼女とは、偶然、大学で再会しました。 彼女は法学部で、お父さんの弁護士事務所を継ぐことを目指していました。多分、彼女のとこだから司法試験も受かったと思います。 私は、彼女は弁護士に向いてると思いました。 いろんな弁護士がいますが、基本弁護士はお金を出した人の言い分が「正義」なので。倫理の軸が強い人は弁護士として成功しないでしょう。 さて、話をオガコに戻します。 6年生になると「週番」という係が回っていきます。 オガコと私は席が近かったのか、二人一組の「週番」を一緒にすることがたまにありました。何をするかというと、授業の後の黒板消しと、下校時間の見回りでした。 人通りの少ない住宅地の中にある女子校なので「痴漢」がたびたび出るのです。露出狂は3種類くらい居て、「あれがでたよ」「こういうのもあったよ」と生徒の間では有名でした。深刻な被害が出たこともありました。先生もシスターだけだったので、狙いやすかったのかもしれません。 それで生徒は駅まで集団下校するために、校門は3時、3時半、4時の3回しか開きません。同じ時間に校門を出た生徒は学年に関わらず「ひと塊」になって歩くのです。ぽつんと一人で歩く子がいないように、6年生の「週番」が校門に立って「何人出た」とチェックするのです。Ⅰキロ先の駅ではシスターが待っていて、「何人着いた」とチェックします。少人数の学校だからできる、きめの細かさだと思います。
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