カトレア

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 15才だった私は、この場面に不思議な心と身体のざわめきを感じながらも、饗がのってくるとお預けをくらわして、ますます男の渇望をかきたてるといった、ごくごく基本的であろう女の手管、そうと知りつつも溺れていく主人公がどちらも許せなかった。一見、気高く、花の中でも女王のような存在のカトレアが、しかし良く見ると花心のあたりが生殖器そのままのグロテスクな形をむきだしにして人目を奪うやりかたに重なって、カトレアって、なんていやったらしい花だろうと思うようになった。まあ、私も15歳だったからね。
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