泉のほとり

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泉のほとり

オガコはおとなしい、真面目な優等生。 すべての科目、満遍なく、きちんとやるという感じでしたが、 「オガコと言えばあれが得意!」というイメージは思い出せません。 しいて言えば、私の中では「音楽のリコーダーのテストの時、きちんと練習してあって丁寧にふけるなあ…」という印象。あんなものを家でまで練習してテストに備えるなんて、全く私にはできないことでした。 私は、3歳から10歳まで習わされたバイオリンも大嫌いでしたし 楽器を奏でるという行為に向いていない。 歌うのは大好きでしたが。 リコーダーの拭き口にそうっと唇を当てて、 上手に音を出すこともできないで 「ぴーーーっつ!」と素っ頓狂に外れた音を出してしまい、 後は笑って吹けなくなってしまうのです。 だからリコーダー(縦笛と呼んでました)のテストは、いつも散々でした。 それより、やっぱりオガコと結びつくイメージは、大きく体を左右にゆりながら、内股で歩くしぐさ。彼女は初等科3年生くらいまで片足に金属の補助具をつけていました。小児麻痺の後遺症とかで、片足が不自由だったのです。 彼女は感情表現があまりない印象でした。 笑ったり、ふざけたり、きゃっきゃするのをあまり見たことがありません。 5年生くらいの時、缶のペンケースが流行りました。 彼女がスヌーピーのペンケースを持ってきたことがあって、可愛いね、と話したら「スヌーピーが大好き」って言っていたのを覚えています。 へえ、オガコもそういうのあるんだ!と思ったくらい。
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