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「いえいえ先生。魔法が使えないってそんなのありえないですわ。この世界の住人は生まれた時から脳内に魔術回路をもっていて、赤ん坊でも魔法が使える時代ですわよ? 数万年も前の人間じゃあるまいし……」
「だから、異世界から来ているから、使えないんだって」
魔法が使えない。それはどうやら説得力としては十分のようで、誰も反論をしてこない。
そして、その証拠を見せるように、フィアさんは先程の水晶を呼び出し、なにかを操作した後三人に向かって差し出した。
「マジか……魔法力ゼロだってよ。いっそもう人間なのか本当に」
「みーあ、ぜろはじめてみた。もしかして、まもの?」
「見た目が人間にしか見えない魔物なんて聞いたことありませんわ。つまり……異世界から召喚しましたのね?」
「だから、そうだって言っているだろ。天才の私が、異世界から呼び寄せたんだ。手違いだけど!」
みんなの視線がぼくへと集まる。
その視線の全てに、なんて不憫なといった感情が込められているのがはっきりとわかり、ぼくはそれを一身に受け止め苦笑いを浮かべることしかできなかった。
手違いで呼び出されたこと含め、魔法が使えないのはどうやらこの世界では致命的なようであるし、固有能力というやつも危険でしかない魔物と戦う上で一切役に立たない能力。
一言だけ言っておきたい。
異世界に召喚された意味!
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