2話 寮長就任(仮)

18/18
227人が本棚に入れています
本棚に追加
/415ページ
「あぁ。ここに呼んでしまったのは私の責任だ。追い出すことなどできない。それに、もしキミが外で捕まって異世界から来たことがバレてしまえば、キミの身が危険になるかもしれない。だから目の届くところで監視させてくれ。あとは、家事とか本当に面倒くさいから、頼む」 「残念ながら、本音がだだ漏れていますけど」 「失敬。気にしないでくれ。帰る方法は絶対に見つける。だからここにいろ」  追い出されることは仕方ないと思っていたし、それに恨みを覚えることもない。  これまでずっと、受け入れられてこなかった人生だ。異世界で同じ扱いでも不満はない。  だけど、いてもいいと言ってくれるなら、お言葉に甘えさせてもらおう。 「二人も、いいんですか?」 「もちろんだよ。襲ってこようが返り討ちにするし」 「みーあはね、おいしいごはんがたべたい」  笑顔で受け入れてくれる二人。  不安を抱いていたわけではないが、安心している自分がそこにはいた。 「それじゃあ改めて。ぼくの名前は美渚 詩音。シオンでいいですよ」 「おれはリエナ・ファイティ・ターニア。みんなからはリーナって呼ばれているから、そう呼んでくれ」 「みーあは、ミーア・マジナリーっていいます。みーちゃんってよんでね。しーちゃん」  こうしてぼくは、一つの不安材料だけを残し、パレット荘の寮長になることとなった。  異世界に来てなにやってんだろうとも思ったが、これはこれで滑稽なぼくらしいだろう。
/415ページ

最初のコメントを投稿しよう!