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「あぁ。ここに呼んでしまったのは私の責任だ。追い出すことなどできない。それに、もしキミが外で捕まって異世界から来たことがバレてしまえば、キミの身が危険になるかもしれない。だから目の届くところで監視させてくれ。あとは、家事とか本当に面倒くさいから、頼む」
「残念ながら、本音がだだ漏れていますけど」
「失敬。気にしないでくれ。帰る方法は絶対に見つける。だからここにいろ」
追い出されることは仕方ないと思っていたし、それに恨みを覚えることもない。
これまでずっと、受け入れられてこなかった人生だ。異世界で同じ扱いでも不満はない。
だけど、いてもいいと言ってくれるなら、お言葉に甘えさせてもらおう。
「二人も、いいんですか?」
「もちろんだよ。襲ってこようが返り討ちにするし」
「みーあはね、おいしいごはんがたべたい」
笑顔で受け入れてくれる二人。
不安を抱いていたわけではないが、安心している自分がそこにはいた。
「それじゃあ改めて。ぼくの名前は美渚 詩音。シオンでいいですよ」
「おれはリエナ・ファイティ・ターニア。みんなからはリーナって呼ばれているから、そう呼んでくれ」
「みーあは、ミーア・マジナリーっていいます。みーちゃんってよんでね。しーちゃん」
こうしてぼくは、一つの不安材料だけを残し、パレット荘の寮長になることとなった。
異世界に来てなにやってんだろうとも思ったが、これはこれで滑稽なぼくらしいだろう。
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