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 一人一冊ずつあてがわれた歌集は、よく手入れされながら使い込まれた、といった風情だ。その表紙を手のひらで軽く撫で、席を離れる。隣りに立つ同じく来賓の男が、おやと不思議そうな顔をしたが、礼拝堂に鳴り響くオルガンに紛れて、摂はその場から静かに立ち去ることができた。
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