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日曜礼拝は、午前十時きっかりに始まるのだという。
礼拝は日曜だけでなく毎日行われていて、月曜から土曜までは、朝七時から。礼拝堂は何時でも利用できるので、反対にその時間さえ外してやってくれば、自由にお祈りできるのだそう。
「日曜礼拝には、おまけがあって……」
悪戯っぽく言ってノアが、首を巡らせる。視線の先には、住居から礼拝堂へ、十数人で列を作って歩く女性の集団が見える。彼女らのうち数人が、ゆりかご大のかごを抱えている。最後尾の女性がこちらを向いた瞬間に、摂は確信することができた。
「いたの、ノア」
「いなくなってもいいけど?」
「午後の教室、手伝ってくれてもいいけど?」
「はい、はい」
ノアの口調を真似て彼を苦笑させる女性は、教会のオルガニストで、ノアのママ。後ろで束ねた、濃く淹れたコーヒー色の髪はほとんど黒髪といってよく、イギリス人と聞いて思い浮かべるイメージよりは、移民的でハイブリッドな印象が強い。
「こんにちは。お友達?」
流暢な日本語だが、イエスかノーで答えるには、少し複雑な質問だ。
「初めまして、二見と申します」
「お会いしたことがあるわ、ね?」
「先週、同僚の結婚式でこちらに」
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