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 彼との会話は、思いも寄らないフレーズを聞くことができるから刺激的だ。神聖、だなんて自分では使ったことがないかもしれない。 「クリスマスもあるし?」 「ああ、そうかも。そうだ摂、暇だったらクリスマス礼拝にもおいで」 「はは、気が早いなあ」  揶揄うつもりが、クリスチャンの彼を前にしては大した冗談にもならず、反対にこちらが笑わされてしまう。  十一月も半ばなので、気の早い街だってクリスマスムードになるのはまだ少し先。WHAM!のクリスマス・ナンバーがラジオでかかり始めるのもしばらく先のことで、今年は一度も聴いていない。カムアウトする前のアイドル時代の楽曲は、ジョージ・マイケルにとって忌まわしい過去の産物だろうか? 「一年でいちばん特別な礼拝だから……もう少ししたら、賛美歌の練習も始まるよ」 「へえ……ノアは、歌はじょうず?」 「うーん、どうだろう」  空中を睨んで、やや照れたように頬を緩める。自信あり、のよう。ノアのように慎み深さを持たない摂には、照れる必要のないことだ。 「俺は上手いよ。賛美歌はー……知らないけど」  悪びれない摂に、腕組をしたまま破顔して、ノアは少し背筋を伸ばした。 「そうだなあ、Amazing Graceは?」 「あ、知ってる、えっと……」     
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