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 たっぷりと値踏みするような摂の視線に、彼は面白そうな顔つきで甘んじていた。伊達だろうか、太い黒ぶち眼鏡の奥、照明を反射して透明に光る黒目が、摂が何を言うのかと待っている。 「……わお、ふぁんたすてぃっく」  茶化すような舌足らずの英語を、 「Thanks」  彼は0.01秒で正しく賞賛だと理解した。  そしてそれから続いたのは、美しさよりも嫌味っぽさが勝る、パーフェクトなイントネーションの英語だった。 「シューティング・ガードの地位は譲れないかな、やっぱり」 「…………ふうん、万年二番なんだ」  特にセンスの光るコメントではなかったかも――お互いに。  シューティング・ガードは、全ての能力を兼ね備えたマルチ・プレイヤーであるポイント・ガードに一歩劣るポジションだ。 「性分みたいで」  背番号2はけれど、優れたアウトサイド・シューターであることが多い。 「レイカーズのスカウトマンがここにいなくて、残念だったね」 「問題ないよ。実はもう、ジャズからオファーを受けてる」  長い人差し指が、笑みをたたえた唇にそっと当てられる。内緒、のモーション。 「ジャズ? 地味!」 「今シーズンは調子いいんだって。知らない?」 「ファンはそう言うね、毎年」  ごく短い会話が穏やかに途切れると、摂はようやく、通りすがりの清掃ボランティアに謝罪するチャンスを得た。 「あー……悪かったと思う」 「何が?」     
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