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 フロントでタクシーを呼んでもらい、マンションに戻る。タクシー代を払う時、今夜初めて財布に触ったのだから良い身分だ。  酒は好きだが、大して強くもない。今夜呑み過ぎたカクテルは、合計すれば100度を越えるアルコール度数だった。ドアを開けるなりコートとジャケットを脱いで、首にまとわりつくマフラーを強引に引っ張るとそのままベッドに倒れ込む。  ふわり。瞬間にジャック・ローズの、リンゴとライムの香りを嗅いだ気がした。
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