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7
時々は車窓の向こうを眺めたりしながら、在来線に揺られる。
車内アナウンスが告げる駅名に、摂はドアのすぐ横の席から立ち上がった。
ごく小さな駅だから、乗り降りする人は少ない。改札をくぐると、下り坂の向こうに薄暗く海が見えた。日没間近の海風は冷たく、ダウンのジッパーを上げ、フードを被る。
摂が向かうのはそれとは反対方向の、坂の頂上。
光ヶ丘キリスト教会前、のバス停にはちゃんとバスが停まることを知っていたが、時刻表は確認しなかった。歩いて行こうと決めたのだから、この先の道路を道なりに上っていけばいい。
ゆるやかに、大きくカーブしながら続く道の、中腹を過ぎたあたりで夕方から夜へ変わる。腕時計は外したきりだし、携帯電話は持って出るのを忘れてしまったので、ここまででどれくらい時間がかかったのかは判らない。感覚では、十五分にも三十分にも、一時間にも感じる。はあ、ため息を吐いたのはうんざりしたからではなく、余計に酸素が必要だったから。
――まだ少し遠い十字架のシルエットを見上げた瞬間に、水滴が睫毛をかすった。
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