7

6/7
前へ
/97ページ
次へ
 ハンサムな顔を見上げて、ねだる。くすぐったいのを堪えるように笑った彼は、摂の両頬を挟んで言った。 「愛してるよ。他とは違う、摂のためだけの愛だ」 「たとえば俺を抱きしめたいと思うような愛?」 「ふふ」 「ねえ。俺にキスしたいと思うような?」 「摂」 「俺とセ」  素早く摂の口を手のひらでふさいだノアが、天井を見上げて小さく嘆く。 「ああ神よ……」  構わず彼の手の内側に口付けると、やっと、胸に抱き込んでくれた。  ふわふわのダウンが少し邪魔だけれど、強く抱き合う。ノアの首筋に頬を押し当てると、堅いチェーンと擦れ合った。彼が肌身離さず着けているクロスだ。髪を鼻先で除けるようにして、摂の頬にノアがキスを贈る。摂は漆黒の巻き毛に指を通し、囁いた。 「……ギャラリーがいるけど」 「背中を向けていてくださる」 「変なの」 「そう?」 「じゃあ、変じゃない……」  どちらでもいいから、と唇を寄せ、含み笑いのままキスを交わした。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

125人が本棚に入れています
本棚に追加