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ハンサムな顔を見上げて、ねだる。くすぐったいのを堪えるように笑った彼は、摂の両頬を挟んで言った。
「愛してるよ。他とは違う、摂のためだけの愛だ」
「たとえば俺を抱きしめたいと思うような愛?」
「ふふ」
「ねえ。俺にキスしたいと思うような?」
「摂」
「俺とセ」
素早く摂の口を手のひらでふさいだノアが、天井を見上げて小さく嘆く。
「ああ神よ……」
構わず彼の手の内側に口付けると、やっと、胸に抱き込んでくれた。
ふわふわのダウンが少し邪魔だけれど、強く抱き合う。ノアの首筋に頬を押し当てると、堅いチェーンと擦れ合った。彼が肌身離さず着けているクロスだ。髪を鼻先で除けるようにして、摂の頬にノアがキスを贈る。摂は漆黒の巻き毛に指を通し、囁いた。
「……ギャラリーがいるけど」
「背中を向けていてくださる」
「変なの」
「そう?」
「じゃあ、変じゃない……」
どちらでもいいから、と唇を寄せ、含み笑いのままキスを交わした。
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