絶対服従2

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絶対服従2

 計算ミスがあったとすれば。  もちろん不可抗力なのだけれど、車のガソリンを、職場までの往復分に少し足りない程度しか残しておかなかったことだ。月曜日は出勤する予定なので、途中のガソリンスタンドで給油すればいいと考えていたのだった。一度キーを回したところでそれに気付き、車を降りて母屋へ引き返す。キーは投げ捨てて、ニット帽とマフラーを拾い上げ、靴のランクをワンランク下げて履きなおした。  下り坂なので、駅まではせいぜい十分だろう。十時台の半ばで最終電車が出てしまうローカル線だが、終電までにはあと数本の余裕がある時間。時刻表は確認せずにいたのだが、雪による多少のダイヤの乱れによって奇跡的に、滑り込んで来た電車にすぐ乗り込むことができた。  無理に合い席するほどの混雑ではなく、二人掛けのシートの片側に座る。終点であるその駅まで、左隣は空いたままだった。プラットホームに下りて、階段を上がり、自動改札を出てから携帯電話を取り出す。メモリーを探すよりは着信履歴を辿った方が早い摂の番号をコールすると、しばらく待たされた後、声より先に息遣いが耳をくすぐった。 『……Hi』 「Hello」 『駅?』     
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