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ベッドに摂を下ろして、抱き合いながらもつれ合う。
滑らかな手がニットを潜って背中を撫でてくるので、バスローブの袷から素肌の胸を探る。きゅっと目を閉じた摂がお返しにと首筋を咬み、ノアを弱らせた。
「セックスの経験は?ある?ない?」
「ある」
「何人?あぁ、正確じゃなくていいから」
寛容なのか、過大評価されているのか、彼自身が恋人の数を把握しきれないほど奔放な人物なのか……どれであれその質問には苦笑するしかない。
「正確にもなにも、ひとり」
「そっか。相手は?男?」
問い詰めるトーンではなく、摂はいつでもこんな調子なのだ。
「男だよ……生粋のロンドンっ子」
「留学生だったの?」
「ん?俺がね」
ベルトの金具を外し、そこから強引に手を入れて臍を触っていた摂が、不審そうに眉を顰める。
「……なに?」
「言ってなかったっけ」
「聞いてない、東京って言ったじゃん」
「ほとんどはそうなんだ。留学してたのは、一年半……二年弱くらい、あわせて」
「聞いてない、言ってない」
「ごめん」
だって。会話の主導権はたいてい、この気移りばかりする男にあるのだから。ノアとしても、自分の話をするよりは、彼の事を聞きたい。
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