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彼がそうするごとに模様を変化させる、枕に広がったゆるやかな髪のウェーブ。消えかけの蛍光灯のように強弱をつけて、目を細めたり開いたり。鼻をひくつかせ、顎を上げ、薄っすら開いた唇からすうう、はああ、吐息を漏らし続ける。
「摂……できるならこのまま、氷漬けにしてしまいたいな」
「イヤ。寒いのはいや……」
うっとりと、ノアより遠くを見つめている摂の目。茶色よりずっと金色に近い睫毛の間から、鈍く潤んだ瞳が光っている。ベストショットはコンマ一秒のレヴェルで更新されていき、その度ノアを感激させずにはいられない。
「信じられないくらい、きれいだ……」
ありきたりな賛辞は、きっと聞き飽きている彼だろうから。
「おいで、ベイビー……」
摂はバレエダンサーのようにまろやかに腕を伸ばし、絡め、脚を開く。
ゴムの中の自分が、きつくなるのが判る。ノアは陶然とした気分のまま、摂に身を沈めた。
「ダーリン……」
「…………んっ……あぁ」
狭い内壁を、時間をかけて篭絡する。
無理、と言われれば一度引き、角度を変えて慎重に挿入していく。時々は摂の素肌に唇を当てて、吸い、うっ血を作ってやりながら。
「せす、って、呼んで……」
「……うん?」
「S……E,T,H,Seth……Repeat after me」
「Seth」
命令には従順なノアに、ふふふふっ、身をくねらせて摂が笑う。
「ベッドの中では、誰にも呼ばせたことないんだ」
「なぜ?」
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