絶対服従2

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 カインとアベルの弟の名前。セスのずっと遠い子孫には、ノアという男がいる。箱舟を造り、家族と、つがいの動物たちを乗せ、洪水を切り抜けた男だ。 「thをじょうずに言ってもらえなきゃ、萎えるだろ?」 「……英語の先生ですから、これでも」  会って間もない頃、自由奔放にロサンゼルス訛りの英語を操る男に、嫌味混じりに言われた。BBCのアナウンサーみたいだと。拗ねた気配を察したのだろう、摂の柔らかい指の腹で、下唇を何度も撫でられる。 「……褒めてる。子音ふたつで、俺をこんなに気持ち良くさせる男って他にいない……」  最奥まで届く自分の先端が熱く、腹に当たる摂が活き活きとしなる。ノアは背筋を丸め、恋人に請った。 「摂、セス。どうか、合図を」 「Go」
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