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12月24日。
ずっと楽しみにしていたイベントの日がやってきた。
普段の私の服装は適当。
明るい色が好きだけど、目立つのが嫌だから無難な黒や紺ばかり選んでしまう。
メイクも必要最小限で、髪もとかすだけ。
朝はメイクに時間をかけるなら、寝ていたい。
だけど、今日は違う。
この間買ったばかりのワンピースとカーディガン。
いつもはメガネをかけるけど、今日はコンタクトをつける。
メイクは時間をかけて丁寧にする。
しっかりベースを作ってアイシャドウ、マスカラ、チークで華やかに。
髪も緩く巻いてみる。
耳には透き通った水色の花のイヤリングを。
可愛くてつい買ってしまった白のコートを羽織ってパンプスを履いたら準備完了。
全身を鏡に映してみる。
私、ちゃんと女の子になれてるかな?
イベントにはお客さんが大勢来るし、自分の存在なんて埋もれてしまうに決まってる。
それでも、思ってしまう。
少しでも可愛くしていきたい。
一番可愛い状態であなたに会いに行きたい。
時計を見ると出発の時刻が迫っていた。
わくわくしながら玄関を飛び出した。
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