山笑う

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もうすぐ春だとは言え まだまだ肌寒いこの季節に、 公園のベンチで座るオバさんと私。 オバさんは買い物帰りなのか 右手には長ネギが飛び出たマイバックを、 もう一方の手にはコンビニ袋を持ち。 そのコンビニ袋の中には、 中華まんが2つだけ入っている。 普段の私ならきっと警戒して、 無視を決め込んだはずなのに。 とにかくもう頭の中がゴチャゴチャで、 整理する意味でも 誰かに話を聞いて欲しかった。 だから見知らぬオバさんだろうと平気で、 その日の事件を説明したのだ。 「私、付き合って5年になる彼がいて、 もう一緒に住んでるんですけどね。 そろそろ結婚かな…なんて思ってたのに、 今日、出張が1日早く終わったから 驚かせようと思って連絡せずに帰ったら、 私の女友達とヤッてたんです!! なんかもうビックリしちゃって、 頭の中がパニックになった挙句、 私の方が『ごめんなさい』と言って 出て来ちゃったんですよッ。 く、悔しいいいい。 絶対にあの2人、初犯じゃないっぽいし、 きっと何も知らない私のことを 陰で笑ってたに違いないんです! ふ、ああっ、ぐすっ、 彼氏と友達から同時に裏切られるとか、 可哀想すぎませんか?! しかも私が普段寝てるベッドで、 アイツ達、よくも、よくも…。 うわああああああん、 なんかもう生きるのが辛いーっ!」
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