239人が本棚に入れています
本棚に追加
まあ、徒歩で買い出しに行けるのだから
公園の近くに住んでいるとは思ったが。
ほんと歩いて5分くらいの場所だし。
ごくごく普通の一軒家の玄関を開け、
私は勢いよくその中に放り込まれた。
「く、靴、靴を脱がせてくださいよ」
「ふっふっふぅ。ここに入ったら最後、
そう易々と帰らせてやらないぞオ~」
って、それは一体何のキャラなのか?
陽気に振る舞うオバさんについていけず、
思わず渋い顔で脱いだ靴を揃える私。
…の背後に誰かが立っていた。
「あら、お客様?」
「えっ?!あっ、ハイッ」
自分で自分を『お客様』と認めるなんて、
私も相当ヤキが回ってしまったようだ。
自嘲気味に肩をすくめ、
挨拶をしようと視線を上げたところ…。
やだこれ。
何だこれ。
泣き腫らした目に染みる…そう言っても
決してオーバーな表現では無いほど、
光り輝く女神がそこにいた。
しかも女神は体操服を着ている。
ネイビーブルーをベースに、
2本だけ入った白のラインが
なんだかお洒落に見えるのは気のせいか。
緩めに結ったオダンゴヘアが、
かなり豪快にほつれているが、
それさえも流行の最先端のように思える。
「お母さん、帰って来るの遅いよ。
また寄り道してたんでしょ?!」
「ごめんごめん、スグご飯作るわね。
あ、もしかして皆んな揃ってるの?」
最初のコメントを投稿しよう!