山笑う

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まあ、徒歩で買い出しに行けるのだから 公園の近くに住んでいるとは思ったが。 ほんと歩いて5分くらいの場所だし。 ごくごく普通の一軒家の玄関を開け、 私は勢いよくその中に放り込まれた。 「く、靴、靴を脱がせてくださいよ」 「ふっふっふぅ。ここに入ったら最後、 そう易々と帰らせてやらないぞオ~」 って、それは一体何のキャラなのか? 陽気に振る舞うオバさんについていけず、 思わず渋い顔で脱いだ靴を揃える私。 …の背後に誰かが立っていた。 「あら、お客様?」 「えっ?!あっ、ハイッ」 自分で自分を『お客様』と認めるなんて、 私も相当ヤキが回ってしまったようだ。 自嘲気味に肩をすくめ、 挨拶をしようと視線を上げたところ…。 やだこれ。 何だこれ。 泣き腫らした目に染みる…そう言っても 決してオーバーな表現では無いほど、 光り輝く女神がそこにいた。 しかも女神は体操服を着ている。 ネイビーブルーをベースに、 2本だけ入った白のラインが なんだかお洒落に見えるのは気のせいか。 緩めに結ったオダンゴヘアが、 かなり豪快にほつれているが、 それさえも流行の最先端のように思える。 「お母さん、帰って来るの遅いよ。 また寄り道してたんでしょ?!」 「ごめんごめん、スグご飯作るわね。 あ、もしかして皆んな揃ってるの?」
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