シーン11

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冗談なら言うなよ!道具を一式もって外に向かう。 イスはその辺にあるでしょきっと。 1人で個人練習できるから今日は連符の練習かな。なんて思いながら階段を下る。 外に出るとやっぱり紅葉の木が美しく並んでいて言葉を一瞬失った。下から見るのではまた違った良さがある。 「綺麗」 渡り廊下にあったイスを拝借して練習の準備をする。少し寒いけどフルートにも紅葉が反射していい感じ。 やっぱり1人だとすごく集中できる。ずっと練習したかった連符もなかなか上手くなってきた。空を見上げる。赤い。紅葉も、空自体も。 「ふう」 「香月って吹部だったんだ」 「うわっ!!」 「あ、ごめん」 「………なにやってんの佐倉」 「んー?サボり?」 「ちゃんと部活するなら部活しなよ。あんた期待のルーキーなんでしょ」 「息抜きも必要なんだって」 「はあ、」 「てかなんでこんなところにいるの?」 「普通に個人練習。この学校周り何もないし外でやってもいいんだよ吹部。」 「ふーん。」 佐倉が隣にくる 「俺、じっくり楽器の音なんて聞くの初めてだったから」 顔を覗き込まれる 「少しだけ」 ああ、 「聞き入っちゃった」 今が11月でよかった 「……ありがとう」 私は今どんな顔をしているだろうか 私の頬にも、フルートみたいに、この綺麗な紅葉の色が反射しているだけ。
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