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例えば、君との思い出が良いものだったとして
決して幸せと言う結果じゃなくても思い出深かったり、懐かしめたり、趣深くなったりできる魔法があるんだ。
例えば君に告白した公園とか
君の気持ちを汲めなかったテニスコートも
一緒に過ごした部屋も
その時は何でもなかった場所が
君と知り合ったことで
君と一緒になれなかった事で
大事にしたい思い出と忘れたいけど忘れたくない気持ちを呼び起こしてくれる特別な場所になるんだ
今日また思い出の公園で
あの時吸ってたタバコを吸ってみたよ
今はあの時より寒いし、隣で煙たがる君もいない
周りは相変わらずしんしんとしてて、
まるで僕だけ取り残されたみたいだ
思い出の場所で、ショートカットの女性がいたんだ
少し茶髪でボブカット。君と同じ髪型
似たような服
同じような後ろ姿
君じゃないかと期待してしまった。
もし君だったらどれだけ嬉しいだろう
もし君だったら何を話そう
どうやって声をかけようかな
好きな歌の話しをしようかな
最近どう?って聞けるかな
でもきっと違うんだろうな
君じゃないんだろうな
記憶に残る君の面影を
僕はここで見つめてる。
その面影も今は遠くなってしまった。
君は前に進んで行ったから。
僕はその背中を見つめていたよ
どことなく夜風が運んできた気がしたんだ
君の優しい残り香を。
また僕は一本タバコを取り出して火をつける。
君が来そうな気がするんだ。
君に会えそうな気がするんだ。
来ないってわかっているけれど
でも気がするんだ。
いやほんとはそう願っているだけなんだよね
そんな虚しい気持ちを抱えて
僕はここで思い出を噛み締めながら
もう少し君を待ってみるよ
来ないはずの君を思いながら
タバコをひとりで吸ってみるよ。
君にとっての僕の残り香が
このタバコの香りだと嬉しいな。
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