飛行機雲

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飛行機雲

「だからピアノは打楽器でもあるの!有鍵弦打楽器!」 彼女の言葉に彼は首をかしげる。 「ピアノは、ピアノでいいだろうが」 どこからか流れてくる音色を聴きながら、彼女の言葉に彼が逆らう。それはいつもの光景。 頑固さは変わらない、ずっとずっと前から。 それは私も一緒。 彼女は小さく溜息をひとつ。 そしてふと思う。 どうしてこんな晴れた日の午後に『月光』なんて奏でている人がいるんだろう? 「で?わざわざ会社にまで来た理由はなに?」 彼女の言葉に、彼はゴソゴソと自分の鞄を漁る。
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