0人が本棚に入れています
本棚に追加
無邪気かつ残酷な言葉。幼いながらも現実を受け止め、夢の理由を持っている。
そう考えると自分は何故宇宙飛行士になりたいと思ったのだろう。私は会社へ戻る途中、ずっとそれを考えていた。
「あっ」
私は道の真ん中で足を止める。
「同じ理由だな……」
昔、私は祖父が大好きだった。祖父の姿はいつもベットの上にあり、学校でひとりぼっちだった私の話を常に静かに聞いてくれていた。
普段は祖父の方から喋ることはなかったが、とある日。そうあれはゴールデンウィークの最終日だ。
珍しく祖父の方から私に話を持ち掛けてきた。
「今は分からんと思うが、もうすぐ爺ちゃんは星になる。 爺ちゃんはいつでも空から見守っているからな。 寂しくなったらいつでも空に語り掛けるんだぞ」
「うん! 何なら会いに行くよ、爺ちゃんの星まで!!」
「ははは! なら将来は宇宙飛行士にならんとな」
「(そうだ。だから私は宇宙飛行士を目指していたんだ。
とても大事なことだったのに、何で今の今まで忘れていたのか)」
私はやるせない気持ちで胸がいっぱいになった。
すると、止まってた足を180度回転させ、会社とは全く別の方向へと走り始めていた。
気が付くと辺りは暗くなっており、私はとある家の前まで来ていた。
「はあはあはあ……。 ここだ……!!」
最初のコメントを投稿しよう!