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せがまれてアドビスは、ヴィズルへコンパスをやった。一ヶ月たって、再び密会の為にやってきたアドビスへ、ヴィズルは以前アドビスが教えてやったことを、コンパスを使って正確に実践してみせた。
「ヴィズル、お前はすごいな」
すっかり驚かされたアドビスは、ガグンラーズ号に来る度に、ヴィズルに少しずつ船のことや、外の世界のことを話してやるようになった。
当然のごとく、ヴィズルはそれをとても楽しみにしていたのだった。
「アドビス、オレ、ちゃんと読めるようになったんだぜ。この間置いていってくれた、『ツェイツリプスト=ツウェリツーチェのあごひげ』っていう本」
アスラトルへ帰港した時、ふらりと立ち寄った古本屋でみかけた、東方連国の神話の絵本である。その世界を半周はするという、大長虫の名前にひかれて、思わずヴィズルの為に買ってしまったのだった。
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