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そして、歳月だけがとうとうと過ぎていった。
――二十年。
波頭のように輝く銀髪をなびかせ、夜の海色の双眸を持つ青年は、波をきって進む船の舳先の前に立ち、感慨深気に水平線を眺めた。
望遠鏡の丸い窓から見えるのは、こんもり緑が生い茂るちっぽけな島。
白い砂浜には朽ちてばらばらになったボートの木片が散乱している。
「帰ってきたぜ」
口元を歪め、にやりとヴィズルはつぶやいた。
【第4話・序章】 20年前 -完-
・・・第4話本編へと続く
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