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ヴィズルはその城塞に背を向け、再び海上を見やった。
白く続く砂浜の右手が、細く突き出た岬になっていて、その先の海が錨泊地として最適の場所だった。そこには彼自身の船が錨を下ろして停泊している。
周りが珊瑚礁だらけの中、ここだけがほどよい深度であることを、育ての親であるスカーヴィズに教えてもらって、知っていたのだった。
エルシーアの商船よりやや長めの優美な船体だが、横幅は細く後方から風を受けて走れば、ヴィズルの船の方が俊足だというのが分かるだろう。
獲物に追いつく速さもさるものながら、中~近距離専用の大砲を24門積んでいて、その気になれば警護船をも相手にできる火力も備えている。
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