4-1 女海賊の島

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 グローリアス号。そう名付けられたかの船の濃紺の帆はきれいに畳まれて、羽根を休めている海鳥のように、ゆらゆらと波間を漂っている。  鮮やかな碧海の上を。  その青とも緑ともいえない、澄んだ水面がきらきら光る様を、ヴィズルは黙ったまま眺めていた。無意識の内に上げた右手で、左脇腹の辺りを押さえながら。 「エルシーアの海は……気に入らねぇな……」  唇の端でつぶやく。  嫌な奴を思い出してしまった。  自然と顔がひきつってきて、ヴィズルはため息をついた。 『君の方こそ、ロワールの居場所を俺に教えて、エルシーアから立ち去れ!』  夜の闇を焦がさんばかりに燃えるファスガード号のマスト。それが松明のように炎上するオレンジの光の中で、自分を見据えていたシャインの瞳――。  エルシーアの海の色……。
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