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半ばうんざりしたようにヴィズルは答えた。
どうもツヴァイスのすました雰囲気が好きではないし、あの眼鏡の奥に光る薄紫の瞳は何を考えているのか分からない所がある。
だが今は共通の敵、アドビス・グラヴェールを葬るために、ツヴァイスを大いに利用したかった。だから、その機嫌を損ねるようなことはできない。
「それで……いつ来るって?」
ヴィズルは浜辺に引き上げていたボートへ向かって歩き出した。
その後ろから、そそくさとティレグがついて行く。
「今夜、いつものところで」
「……毎度のことながら、こっちの都合を考えない奴だな!」
ティレグとヴィズルは鮮やかな青色の海面へボートを浮かべて海へこぎだした。
停泊しているグローリアス号に急いで戻るために。
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