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からからに乾いてきた口のせいで、うまく声が発せられない。
リオーネが肩をつかんだ。とても強く。
行くな、といわんばかりに。
男が叫んでいた事は、真実の一部であり、嘘ではない。
エルガード号に海賊ではない者がいるとわかっていて、けれど助ける事を考えず、見捨てた事は事実だった。
それは“自分”が一番よくわかっている。
周りをだますことができても、“自分”をだますことなどできはしない。
グラヴェールは……。
意を決して声を絞り出そうとした時、一陣の風がシャインの横を通り抜けていった。
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