4-4 温もり

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「この人はシャイン・グラヴェールではありません」  リオーネがシャインと間違えられた士官の前に立ち、毅然とした態度で遺族の女性を見つめていた。 「そ、そんなことはないわ!」  女性はかん高い声で、ヒステリックに抗議する。だがリオーネは新緑の色をした瞳をゆっくりと伏せ、女性の高ぶった感情を鎮めるようにその手を取った。 「私はシャインの叔母にあたる者です。ですから、この人がシャインでない事がわかって当然でしょ?」  まるで子供を諭すような、それでいて、子守唄を歌うようなけだるさをもったリオーネの声に、女性はおどおどした目つきで見返してきた。 「叔母って、本当なの?」 「ええ。私は海軍で“海原の司(つかさ)”を務める“術者”です」  女性を安心させるように、リオーネはゆっくりと言葉を紡ぐ。
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