1人が本棚に入れています
本棚に追加
バス停に着くと、アオはベンチに座ってカバンを膝の上に置いた。俺はその隣にカバンだけを下ろす。
「そう言えば、この間の模試の結果、どうだった?」
「まあまあかな。アオは?」
「私もそれなり。もう少し英語を頑張りたいかな」
アオはペットボトルの蓋を開けながら難しい顔でそう答える。
「やっぱり焦るっていうか、学校のテストで点が取れるようになってきても、なかなか模試だと点数伸びなくて。でも、絶対何とかする」
そう言うアオが目指しているのは、地元から離れた都会の学校だ。それなりにレベルも高いが、以前からずっと憧れていた職業に就くために資格が必要で、どうしてもその学校で学びたいのだという。
対する俺は地元の大学に進学を希望していて、今のまま学力を落とさなければおそらく合格できるだろう、と言われている。そのための努力はしているつもりだが、俺はアオと違ってどうしてもその大学に行きたいわけでも、欲しい資格があるわけでもない。ただ、何となくまだやりたいことが見つけられないから、大学に行ってもう少し勉強をして、それを見付けられたらと思っている。……もう少し、悩む時間が欲しかった。
「……小さい頃だったらさ」
「うん?」
最初のコメントを投稿しよう!