流れ星

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 バス停に着くと、アオはベンチに座ってカバンを膝の上に置いた。俺はその隣にカバンだけを下ろす。  「そう言えば、この間の模試の結果、どうだった?」 「まあまあかな。アオは?」 「私もそれなり。もう少し英語を頑張りたいかな」  アオはペットボトルの蓋を開けながら難しい顔でそう答える。  「やっぱり焦るっていうか、学校のテストで点が取れるようになってきても、なかなか模試だと点数伸びなくて。でも、絶対何とかする」  そう言うアオが目指しているのは、地元から離れた都会の学校だ。それなりにレベルも高いが、以前からずっと憧れていた職業に就くために資格が必要で、どうしてもその学校で学びたいのだという。  対する俺は地元の大学に進学を希望していて、今のまま学力を落とさなければおそらく合格できるだろう、と言われている。そのための努力はしているつもりだが、俺はアオと違ってどうしてもその大学に行きたいわけでも、欲しい資格があるわけでもない。ただ、何となくまだやりたいことが見つけられないから、大学に行ってもう少し勉強をして、それを見付けられたらと思っている。……もう少し、悩む時間が欲しかった。  「……小さい頃だったらさ」 「うん?」     
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