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「だから、現実的になったことは、別に悪いことじゃないと思う。根本的には、あれになりたい、って思ってた小さい頃と変わってないと思うから」
「変わってない?」
「たぶんね。なりたいものがあって、そのために行きたい大学があって、そのために受験に合格したいんだから」
そう言う自分は、やりたいことが見つからない、という理由で少し焦っているわけだから、なりたいものがあってそこに向かって努力できるアオのことが、少し羨ましい。
アオは少し考える素振りを見せて、それから少し笑った。
「そうだね。ちょっと難しく考えすぎちゃってたのかも」
そう言ってから、アオは空を見上げた。
「流れ星、やっぱり見たかったなあ」
俺もつられて空を見上げたが、バスが来るまで眺めていても、星が流れることはなかった。
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