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「ううん。あ、って思った次の瞬間には、もう見えなかったから」
「……今なら、何をお願いする?」
「もちろん、志望校に合格できますように!」
そう言い切って、アオはくすくすと笑った。
「受験が終わるまでは、もうそれしかないでしょ」
「そうだなあ」
「ちゃんと合格出来たら、次の願い事は何かな。……今度はちゃんと資格が取れますように、かも。君は?」
アオは楽しそうに聞いてきた。
「そうだな、俺は……やりたいことが見つかりますように、かな」
「あ、良いね良いね。夢があって」
「そうかな」
「そうだよ。可能性に満ちてる」
自信満々でアオが言うので、俺は思わず笑ってしまった。
やりたいことがない、ということに焦りすら感じていたのに、それが可能性に満ちているだなんて。
俺がずっと笑っていると、つられたようにアオも笑いだした。
俺の未来は、俺が思っているよりもずっと明るいのかもしれない。アオが言うように可能性に満ちていて、夢があるのかもしれない。
「……じゃあ、まずは受験に受からないとな」
「そうだね、お互いに頑張ろう! ……あ、バスが来たよ」
俺達は立ち上がって、バスがバス停に停まるのを待った。
ふと見上げると、空には満天の星空が広がっている。
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