"夏目 翡翠”

7/10
前へ
/29ページ
次へ
「あーぁ。だから云ったのにー。」 ヨハネスが、倒れ込んだ私をベッドに戻しながらぶつくさと文句を云う。 「貴方の身体は、まだ魂と完全に癒着してないんです。 なので、普通に身体を動かそうとしてもコントロールが出来ないんです。 ですから、暫くは大人しくしといてください。 10分もすれば普通に慣れますから。」 すると、ヨハネスは私の手元からlistを取り、パラパラと頁をめくり始めた。 今まで本を見たり、手鏡を投げつけたり出来たのは、恐らく『魂と癒着』が上半身の方が先に出来ていたからなのだろう。 「listはひと通り見ましたか?」 「見た。最初と随分違うんだね。」 「えぇ。最初は選ぶだけですけど、今度は実践ですからねぇ。」 そう云いながら、ヨハネスが自分の首元をゴソゴソと漁ると、中から見覚えのある銀色のペンダントが出てきた。 「今から、ドッペルゲンガーとしての最低限必要な道具の説明をします。 1度しか云わないので、よく覚えておいてくださいね?」 そうして、約10分間、ドッペルゲンガーとしてのチュートリアル的な説明を受けた。 簡単に云うと、ペンダントが身分証明書、listの本がサポートアイテム、ヨハネスが監視役兼サポーターといったところだ。 この全てを駆使し、最終的にターゲットの生気、生きようとする心を殺せばいいらしい。要は廃人同様にすればこちらの勝ちだ。 「あぁ、それと大事なことを忘れてました。 そのlist無くなるんで。」 は?
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加