ショーシャンクは土に

５：黒羽刑務所の糞６人衆

　俺は無期懲役だから作業にポテンシャルを引き出すことに骨を折った。ここで頑張っても何の意味も無い。
　罪を反省する？　そんな意識は全く持っていなかった。むしろ、世の中は俺に感謝すべきだ。近頃日本全国で梅毒を広める性風俗従事者の女と暴力団関係者の男を殺したんだぜ？　そうさ、俺はむしろゴミ掃除をしたんだ。英雄じゃないか。
　俺は刑務官達に呼び出されると、独居房から定員六人の雑居房に異動されることになった。俺は一人の方が気楽で良かったが、俺に選択の権利は無い。俺に伝えられるのは決定事項だけだ。
　俺は刑務官達の意図を考えた。俺は明らかに他の男達より身体は鍛えられている。おそらく、それを察知して筋トレをさせないため、雑居房に異動させるのだろう。それとも雑居房に暴力団関係者達を集めて、また暴動を起こさせるつもりだろうか。
　さまざまな疑惑が湧く中、俺は６６６号室の雑居房に異動した。日本の雑居房は畳部屋。
　中に居た５人を紹介しよう。
　俺と同じく過去に殺人を犯して無期懲役を喰らった老齢の８８番。事件を起こしたのは３０年も前だが、親族が居ないため未だに仮釈放されたことがない。
　悪徳商法や霊感商法で逮捕された宗教団体教祖の４９番。こちらも６０歳を過ぎている。あと１年で刑期が終わるから、逃げ切りを狙う模範囚だ。
　強盗や窃盗を繰り返して１３年の刑に処された１７６番。年齢は４０代。収監されたのは３年前だからあと１０年はムショ暮らし。
　俺より１０個年上の１８９番は、俺より１人多い３人殺している悪党だが、死刑は回避されて俺と同じく無期懲役。
　殺人ってのは被害者に何の落ち度も無いと死刑になり易いが、殺す相手によっては複数人殺しても死刑を回避出来る。
　そして明らかに１人だけ犯罪者としては小粒で年も近い２８７番。執行猶予付きの判決を貰ったのに金目当てに窃盗を犯して５年の実刑を喰らったバカである。
　この糞５人衆に無期懲役の俺・１４１番が加わることになった。