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「で、見つかりました?」 「何が?」 「一昨日の、差出人不明の告白の主」  例によって放課後の生徒会室で、後輩の矢野が興味津々に訊いてくる。  完全に面白がっているな。 「気になるの?」 「なりますよ」  やる気なく聞き返してみたら即答だった。 「カードに一言だけって、意外にインパクト大きいですよね。誰からか分からないっていうのもちょっとミステリアスだし、印象に残るには効果大ですよ。でも、なんで1回丸めたのかな?」  どうやら矢野は、例のカードの送り主の策士ぶりを大層気に入っているようだ。  もしかしたら、実践してみる気だったりして。  言ってやるべきかな。  矢野が思っているほど効果的じゃないよ、って。  大体、「好きだ」って書いた紙を、一度丸めて送りつけるなんて不気味だろ。  むしろ逆の意味と捉える見方もできる。  そんなの考えすぎだろうか。 「蔵原先輩だって、気になっているでしょ?」  矢野が訊くと、武威はパチンとホッチキスでプリントを束ねながらこちらを向いた。 「どーでもいい」  冷たい一言で済ませただけではなく、呆れたような視線も向けてくる。 「そんな事より仕事をしろよ、生徒会長」  訊いたのは矢野なのに、何故かオレが怒られた。  してるだろ、仕事。  オレだってちゃんと手は動かしているのに。  なんて、文句は言わないけど。  それでなくても、最近の武威は機嫌が悪くて扱いにくいから、口答えなんて面倒な事はしたくない。 「そう言えば、田辺は?」  いつも矢野と一緒にいるイメージの強い田辺が、まだ生徒会室に姿を見せていない事に気づいた。  せっかく心配して訊いたのに、矢野は「今頃気づいたのかよ」と言うような目でオレを見る。 「何か用事があるとか言って、少し遅れるそうですよ」 「ふーん、珍しい」  それ以上の感想はなかった。
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