02

7/8

246人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
 客観的に見ても、オレはそういう事をしたいと思われるようなタイプじゃない。  告白してくる奴らだって、恋愛感情なんてほとんど無いのだと思う。  きっと、遊び半分が一番割合を占めているんだろうな。  そうじゃなかったら、この状況の説明がつかない。 「お前相手にそういう事をしたいから告白してくるって、分かんねぇのかよ!」  あまり深刻に考えてなかったオレと、人の事なのに深く考えすぎの武威の間には大きなズレがあるようだ。 「・・・・・・は?」  とにかく、理解するのに時間がかかってしまって、せっかくの武威の忠告も耳に入ってこない。 「そういう目で見られているって、自覚がなさすぎ」  呆れたような武威の言葉を、何度も反芻してみる。  「そういう目」とは、つまり、どういう事だ?  逃げられないように手足を縛って、騒がれないように口を塞いで、それで襲う、というような対象になっているという事か。  そもそも「襲う」ってなんだろう。  武威の口調から察するに、強姦的な何か?  このオレに?  確かに、告白後に付き合うとしたらそういう事もありか。  待て、待て。  付き合うならオレも同意の上なのだろうから、少なくとも強姦にはならない・・・って、そういう話をしているんじゃないよな。  何にしても、理解できないに変わりはない。  自分をそんな風に見る奴がいるなんて、考えた事もなかった。  オレみたいなのでも、そういう対象になるのか。  世も末だ。  だけど、そうやって忠告してくれるという事は、武威はそういう風に考えた事があるのだろうか?  自分が考えた事があるから、他人もそうなんじゃないかと疑うんじゃないだろうか。  それじゃ、武威は・・・。 「お前も?」  素朴な疑問が口から出ていた。  そう言う武威は、オレをどんな目で見ているんだろうか。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

246人が本棚に入れています
本棚に追加