247人が本棚に入れています
本棚に追加
「蔵原が荻野を護っていたのはみんな知っているし」
「護る? オレを?」
意味の分からない事を言われたので訊き返すと、宮永が呆れたような表情でこちらを見た。
「蔵原が気の毒だな」
溜息混じりの呟きに、少しカチンときた。
「大体、オレは特に目立っていないし」
「それ、本気で言ってる?」
驚いたような宮永の様子に、こっちが驚く。
そう言えば、さっき山岸にも「浮いている」と言われたばかりだ。
やはり、何か特殊な電磁波でも放出しているのだろうか。
「それじゃ、中等部に中学して割と直ぐに、自分が先輩に狙われていたっていうのも知らないんだろ」
「・・・初耳だ」
なんだ、その異世界の出来事のような情報は。
「その頃の荻野はめちゃ可愛かったから校内で結構有名で、目を付けられるのも早かったんだよな」
どうしよう。
宮永の言っている事が全く理解できない。
一体、誰の何の話をしているんだ?
「勿論、荻野は今も可愛いよ」
オレが怪訝な表情をしていた理由を勘違いしたらしい宮永が、フォローするように付け足したけど、そんな事はどうでもいい。
最初のコメントを投稿しよう!