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天気が良いので外で食べようという事になり、校内にある小さな中庭に向かった。
既に何組かの先客がいたが、スペースはまだ空いている。
「会長、今日は外で食べるんですか?」
オレの顔を見るなり、知らない奴がそう訊いてきた。
外見から察するに、後輩だろう。
別に珍しいことではない。
「ああ」
「蔵原先輩は一緒じゃないんですね」
頷くと、今度は違う奴が山岸を見て不審そうに訊く。
それに関しては、曖昧に笑ってやり過ごした。
武威じゃなくて山岸が一緒にいる理由なんて、オレだって誰かに訊きたい気分だ。
「和海さんって人気者ですよね」
「は?」
気が抜けていた所為か、相槌が雑になってしまった。
もちろん、「何を言っているんだ、こいつは」という気持ちも入っている。
そんな評価、初めてされた。
「やっぱり気付いていなかったんですねー」
開いているベンチに座りながら、山岸は独り言のようにそう言った。
「気付くも何も、生徒会で目立つから声かけやすいだけだろ」
釈然としないまま山岸の隣に座る。
確かに、前々から気軽に声を掛けられることは多かったが、「おはよう」とか「さようなら」とかのただの挨拶がほとんどだ。
人気があるとか無いとか、そういう感じのものではない。
「それが人気者って事なんですけどね」
そんな風に苦笑されたら、若干馬鹿にされた気分になる。
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