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○ ○ ○  放課後になったと同時に、オレは武威の教室へと向かった。  先に帰ったり、先に生徒会室に行かれないように、教室で捕まえる為だ。  ちょっと話をしたいことがある。  例のカードの事と、宮永が言っていた入学直後のいざこざの事だ。  特に、入学直後にオレが先輩に目を付けられていたという話については、今まで全く知らなかった事だから、できればじっくりと腰を据えて話たいくらいだ。  別に生徒会室でもいいけど、あそこだと余計な横槍が入ってきそうだからな。 「武威ー!」  丁度教室から出てきた所の武威を発見したので、思わず大声で呼び止めてしまった。  廊下にいた生徒たちが一斉にこっちを向いたというのに、肝心の武威は立ち止まっただけで背中を向けたままだ。  何だよ。  聞こえているなら振り返ったっていいだろ。 「武威! 聞こえてるんだろ?」  近くまで駆け寄って腕を掴んで、それでようやく武威はこっちを向いた。 「聞こえてるよ」  普段は寡黙な瞳をちょっと気まずそうに細めて、武威は諦めたように口を開いた。  素っ気無い声と態度だったけど、やっと武威に会えたから少しホッとした。  やっぱり落ち着くな。  深い意味じゃなく、ただ単純に武威が好きだ。  あまりにも普通すぎて、考えた事もなかったけど。  こんな風に、誰かを「好き」と思えるのはちょっと新鮮だ。  オレも武威も何も変わっていないのに、少し景色が違う気がする。
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