04

10/11

246人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
「ちょっと話をしたいんだけど」  どうしよう。  少し緊張している。  武威と話をするのに緊張するなんて、変な気分だな。  どうやって話を切り出そうかと考えていると、武威のやけに冷めた声がした。 「悪いけど、急いでいるんだ」  素っ気無くそう言った武威に顔を逸らされて、胸が痛んだ。  そういえば、オレから誘って武威に断られるのは初めてだ。  だからかな。  軽くショックを受けているのは。 「何か用事でもあるのか?」  それでもめげずに、いつもと変わらない調子で訊いてみる。  武威にだって、都合の悪い日くらいあるだろうし。  最近の武威はオレを避けているようだしな。 「ああ」  即答した武威が、まだ何か言いた気にこちらを見る。  オレは少し身構えて、武威の言葉の続きを待った。  もしかしたら、オレを避けている理由を教えてもらえるかもしれない。 「悪いけど、しばらく生徒会室には行かれそうもない」 「しばらくって、どのくらい?」 「・・・さぁ」  その突き放し方は、拒絶によく似ていた。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

246人が本棚に入れています
本棚に追加