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「ちょっと話をしたいんだけど」
どうしよう。
少し緊張している。
武威と話をするのに緊張するなんて、変な気分だな。
どうやって話を切り出そうかと考えていると、武威のやけに冷めた声がした。
「悪いけど、急いでいるんだ」
素っ気無くそう言った武威に顔を逸らされて、胸が痛んだ。
そういえば、オレから誘って武威に断られるのは初めてだ。
だからかな。
軽くショックを受けているのは。
「何か用事でもあるのか?」
それでもめげずに、いつもと変わらない調子で訊いてみる。
武威にだって、都合の悪い日くらいあるだろうし。
最近の武威はオレを避けているようだしな。
「ああ」
即答した武威が、まだ何か言いた気にこちらを見る。
オレは少し身構えて、武威の言葉の続きを待った。
もしかしたら、オレを避けている理由を教えてもらえるかもしれない。
「悪いけど、しばらく生徒会室には行かれそうもない」
「しばらくって、どのくらい?」
「・・・さぁ」
その突き放し方は、拒絶によく似ていた。
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