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05
武威が生徒会にも顔を出さなくなってから、今日で三日目。
宣言通りだけど、こんなに徹底しなくてもいいのに、というくらい姿を見せない。
こんな事は初めてだ。
ここまで本格的に避けられると、こっちも意地になってしまう。
意地でも、「会いたい」なんて思ってやらない。
「で、何でそれを俺に言うんですか」
あの日以来、なんだかんだと一緒に昼飯を食べている山岸は、人の真剣な悩みをそんなやる気のない質問で返してきた。
紙パックの烏龍茶をズズッと飲み干して、こちらも見ずに小さく息を吐く。
「何で」って、他に相談する相手がいないからだよ。
「お前、知っているんだろ。オレが武威を好きだって気付いたの」
相手が山岸なら、半ばヤケになって、口に出して認めてしまえるようになってしまった。
好きなのかもしれない、とは思っていたけど、こんなに好きだったとは、自分でも予想外だ。
山岸だけは、オレのそんな予想外を知っているから。
「そんなの、全校生徒が知っていますよ」
ところが山岸は、うんざりしたようにそう言い切って、ようやくオレを見た。
「知らなかったのは、和海さんだけです」
本人の目の前だというのに、とんでもないデタラメを断言しやがった。
そんな馬鹿な。
オレの事なのに、知らなかったのがオレだけだなんて、そんな馬鹿な話があるか。
大体、どうして皆はオレの気持ちが分かるんだ?
そんなのおかしいじゃないか。
「オレが知らなかったら、誰も知る筈ないだろ」
「見てれば分かりますよ。ついでに、蔵原先輩もね」
潰した紙パックをコンビニのビニール袋に入れて、山岸が微笑む。
「武威の、何が分かるんだよ」
「これも、知らないのは多分和海さんだけですよ」
「だから、何が」
勿体つけた言い方をされて、つい苛立ってしまう。
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