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○ ○ ○  最近のオレはちょっと忙しい。  と言っても、西へ東へと走り回るような時間的にも体力的にも無茶な忙しさではなく、休み時間にちょっと呼び出されるとか、放課後にちょっと呼び出されるとか、そういう程度のものだ。  呼び出されて何があるのかと言うと、告白をされる。  主に後輩から。  確認するまでもなく、オレも相手も男だ。  何がどうして、突然こんな事態になったのかはさっぱり不明だが、夢でも何でもなく、オレの周りで現実に起きている出来事なのだ。 「それ、多分俺らの所為です」  放課後、いつものように訪れた生徒会室でそんな愚痴をこぼしたら、矢野が申し訳なさそうに自己申告した。  例によって、さきほども後輩から呼び出されて用事を済ませてからここにやってきたので、生徒会室にはオレ以外の役員が揃っていた。 「つい言っちゃったんですよね。クラスの奴らに」  部屋の出入り口に一番近い所にいた矢野がそんな事を言っているが、オレには何の事なのか全く分からない。  扉を開けたままの体勢で話をしていたので、カラカラと戸を後ろ手に閉めながら訊いた。 「何を」 「荻野先輩と蔵原先輩が付き合ってないって」 「みんな、今までずっと、荻野先輩と蔵原先輩が恋人だと思っていたから自粛していたんですよ」  矢野の申告を補うように田辺が付け足した。  自粛とは、また大袈裟な単語を持ち出してきたな。  まあ、引っかかるのはそこではなく、もっと他の部分だ。 「みんなって?」  どのくらいの人数を指して「みんな」なのかが気になる。  この間の反応を見る限り、生徒会の役員全員は確実として、他にもそんな勘違いをしていた奴がいたのだろうか。 「全校生徒」  田辺がさらっと衝撃発言をしやがった。 「全校!?」  何だ、その規模の大きさは。  と言うか、オレたちは全校規模でそんな風に見られていたという事か。  段々分かってきた。  最近の告白ラッシュの裏が。  オレがフリーだと知ったからか。  安易だ。  安易すぎるぞ、ウチの生徒たち。
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