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「本当に、武威が辞めたいって言ったのか?」
「言っていましたよ。最近生徒会室に来ないから、どうしたんですか? って訊いたら、もう辞めるつもりだからって」
「それ、いつの話だよ」
「ついさっきです。昼食い終わって、教室に戻ろうと思ったら蔵原先輩を見かけて」
オレが最後に会った時には、辞めるなんて言ってなかった。
「しばらく生徒会室には行かれそうもない」とは言っていたけど、それはあくまで一時的にということだと捉えていた。
あの一言に、辞めるなんてニュアンスは混ざってなかった筈だ、と思う。
それが、たった三日程度の間に一体何があったんだ。
「どうして急に・・・」
困惑のあまり、独り言のような呟きが口から漏れていた。
何が一番ショックって、オレに何の相談もしてくれなかった事だ。
今はこんな状態だけど、ずっと友達だったのだから相談くらいあってもいい筈だ。
何より、会長のオレに一言も無いなんてありえない。
何か理由があるのだろうけど、それにしてもこんな急に。
「どうしてって、荻野先輩の所為に決まっているじゃないですか」
少しイラついたような矢野の言葉で、完全に思考が止まった。
オレの所為?
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