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「会長が生徒会の和を乱しているって、気づいています?」
まるでオレを責めるような言い方だ。
オレがいつ和を乱したんだよ。
これには反論せずにはいられなかった。
「乱しているのは、オレじゃなくて武威だろ」
突然オレを避けるようになったり、何の相談もなく生徒会を辞めるなんて言い出したり。
もしここが軍隊だったら、ナンバー2がそんな状態じゃ兵士の士気が下がりまくりだ。
尤もだと思ったオレの言い分は、矢野の盛大な溜め息に吹き飛ばされた。
「鈍すぎですよ、荻野先輩は」
呆れ返ったような、少しイラついているような口調だった。
「このままじゃ、蔵原先輩だけじゃなくて、田辺も可哀相だ」
「は?」
オレの疑問には全く引っかからずに、そう言い捨てた矢野は背を向けてさっさと行ってしまった。
待て、待て。
訊きたいことがあるんだから勝手に行くな。
と、呼び止めようにも、咄嗟に声が出てこない。
武威と田辺が可哀相?
それがオレの所為だって、矢野はそう言ったんだよな。
どういう事だ?
と言うか、武威はともかく、どうして今の話の流れに田辺が出てくるんだ?
分からない。
矢野の言っている事の半分も理解できなかったのは、やっぱりオレが鈍いからなのだろうか。
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