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「何でそうなるんだよ。説明とか、そんな面倒な事したくないだけだよ」
完全に突き放されたと思った。
頭に血が上ったと感じたのは一瞬で、後はただひしひしと憤りが込み上げてくるだけだ。
「オレに何の相談もなく、勝手に辞めるなんて」
確かに、今まで武威に相談なんてされた事なかったけど、今回の事は話が別だ。
オレは生徒会長で、武威の一番の友達で。
武威が生徒会を辞めたいと思った時に、相談されない筈がないのに。
「お前に話しても何の解決にもならない」
その通りだとしても、そんな風に言われるのは辛すぎる。
「そうかもしれないけど、でも友達だろ」
初めて会ったのは、中等部の入学式の時だった。
同級生とは思えない落ち着いた物腰が印象的で、今でも当時の武威の姿は脳裏に残っている。
周りの奴らは武威の事をぶっきらぼうで無愛想だと言ったけど、オレにはそうは思えなかった。
語調はぶっきらぼうかもしれないけど、少なくとも無愛想ではない。
ずっと、友達と言われて最初に思い浮かぶのは武威の顔だったのに。
「悪いけど、和海を友達だと思ったこと無い。努力はしたけど駄目だった」
心臓が何かに押さえつけられたように苦しい。
言葉は凶器になる、と誰かが言っていたのを思い出した。
誰でも持っている、人を傷つけられる武器。
まさか、武威に振り下ろされるなんて思ってもみなかったけど。
友達だと思っていた相手から「友達だと思ったこと無い」と言われて、何かに殴られたようなショックを受けた。
と、同時に、そのショックでモヤモヤしていた頭の中が弾けたように鮮明になった。
今まで一体何でこんな事で悩んでいたのか、馬鹿馬鹿しくなってしまった。
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